君の百倍、僕は君が好きだ。
僕の世界の真ん中は、もう僕じゃない。それはひどく幸せなことだった。
総合病院の長男である加賀谷は、周囲の期待が重苦しかった。
そんな時に出会った蓮に好意を示され、舞い上がるような心地になる。
借金を背負いながらも一生懸命に生きている彼の力になりたいと思う。
なのに──愛した「蓮」は恋愛詐欺師だった。
彼と過ごした甘やかな時間、それが嘘だとはどうしても受け入れられず……。
短編『ありがとう』も初収録
今からでも遅くない。
彼が幼いころもらえなかった幸せを、できるかぎり僕があげよう。
そうしてこの家に彼のものがたくさん溢れて、その一つ一つが彼の毎日を確かな幸せで彩って、
彼を笑顔にしてくれたなら、それだけできっともう僕も幸せだろうから。