■似ているところもあるし、似ていないところもある
――ご自身と演じるキャラで似ているところはありますか?
中沢:僕自身似ているところは結構あって、深く考えるところとか、ちょっと不器用だけど真面目っていうのは僕も言われたりはするんで、そういうところは似ているかなと思います。
小林:ご飯を食べるのが好きとか、割と明るい時は明るいというか、そういうところを知っている人には似てると言われますかね。
――逆に、似ていないところはどこでしょうか?
中沢:航平は予習をしているんですけど、僕は勉強に関してはあまり真面目にやってこなかったタイプなので…(笑)。好きなことに対してはどんどん熱意を持ってやるんですけど、勉強とか苦手な事に関してはちょっと距離を置いてきたのでそこに対しても一生懸命できる航平は凄いなと思いつつ、そこは僕とは違うのかなとは思っていました。
小林:中心に立っているところとか。輪の真ん中で。僕は結構どっちかというと端っこにいるタイプなので主人公タイプじゃないし、似てないなって思う所は多々ありますね。すぐ思ったことを真っすぐにバッと伝えるとか、僕だったらちょっと遠慮するところも太一だと言っちゃうし。表情がコロコロ出るし。そういった部分が可愛らしいなと思います。僕は年齢を重ねるにつれてそういう部分がちょっとなくなっていってるところはあってですね…(笑) 。
――役作りで苦労された点はありますか?
中沢:やっぱり難聴というところですね。大きな音がするとパッと反射で向いてしまう場面も何回かあって。でも多分航平は聞こえづらいんだろうなっていうところにも反応してしまうこともあったので、そういうところにも気を付けつつお芝居はしています。
小林:苦労ですか…あんまなくて楽しくやらせてもらっているなっていうイメージはあります。のびのびと楽しくいることが大事だなって思っていて、そういったところを大切に演じさせてもらっています。
――割と役にはまりやすかったという事でしょうか?
小林:そうですね。どっちかというと僕にある共通する部分を使ってやってる感じはあります。でもやっぱり苦労したなっていうのは最近あったんですけど…怒りながら涙が出てくる太一、みたいな。感情っていうより、何で勝手に出てきたんだろう? みたいな感じじゃないですか。本能で出てる部分だから。感情を動かして出る部分じゃなかったりする時もあるので、そういった意味ではやっぱり僕は太一ではないから演じていて難しいなって思う時はありました。
■取材は当事者の近くへ
――ドラマ化に向けて取材をしてくださったとのことですが、問題がない範囲で少し具体的に教えていただけると嬉しいです。
中沢:難聴の方とも色々とお話をさせていただいたり、リケン補聴器センター(※補聴器専門店)というところにも行かせていただきました。実際にそこで補聴器をお借りして付けるんですけど、航平が聞こえている世界っていうのを再現していただいて、その状態で物語を聞くっていうのを体験しました。人によって子音の息の含んでいる音が聞こえづらかったりして、そういったことを体験できたので役作りにも参考にさせていただいています。
小林:大学の時にノートテイクをしていた方に取材をさせてもらいました。実際に使っていたノートテイクのノートを持ってきてもらい、どういう感じで書いているのか見せてもらったり。慣れてきたらこういうこともするよとか、共通認識の記号とかも使って、より早く、レベルの高いノートテイクにするために私達はこうやってますっていうのを見せてもらいました。
――急に質問の内容が軽くなりますが…好きなお弁当の具は何でしょうか?
中沢:え~なんだろう……。高校の時にお弁当だったんですよ。おかずじゃないんですけど、母親が作ってくれた炊き込みご飯が凄く好きで。炊飯器で作らずに出汁から取って…。
(ガサゴソ)
取材中に差し入れのアップルパイを食べ出す小林さん
中沢:え、な、何…!?どした?急に!?
一同:(爆笑)
小林:ずっと(食べる)許可取ってて、取材写真を撮り終わったら食べていいよって。
中沢:いやいやいや、これ終わってから食べなよ (笑)!
一同:(爆笑)
中沢:あの…炊き込みご飯があって…(笑い止まらず)イカとかも入ってて、具沢山で美味しいです。
――小林さんは?
小林:ハンバーグです!
一同:(笑)
小林:ハ、ハンバーグじゃないですか~!は気持ちよく言えました。
――ありがとうございます(笑)。
――作中で一番好きなキャラは誰でしょうか?
中沢:……お母さん。涼子さんは好きですね。航平も凄く元気をもらっているんだろうなっていうのは感じますし、お母さんのお弁当を毎日食べられる幸せっていうのは凄く感じていると思います。お母さんからしか貰えない元気っていうのも原作を読んでいて多分あるんだろうなって思っていたので、お母さん好きです。
小林:太一ですね。なんか演じていてこっちが元気づけられちゃう。大体ああいう子って得しますよね。みんなから好かれてなんかいいなと思ったり、可愛らしいなって思ったりしますね。
■強い優しさに惹かれる瞬間
――ご自身が演じるキャラの好きなところを教えてください。
中沢:航平は色々なことに対して細かく考えているんだろうなっていうのは凄く感じます。人に対しても考えているからこそ直接的に言えないこともあるんだなと思いつつ、人や物事に対して深く考えられるのは本当に素敵なことで、そこは航平の好きな部分でもありますし、不器用だけど一生懸命やってるっていうところが凄く好きですね。
小林:弱い立場の人に何の躊躇いもなく手を差し伸べてあげる太一って物凄くいいやつだと思うんですよね。航平が話に入れなかった時に手を引っ張ってあげるとか。そういうのって強い優しさがないとできないというか…やってあげたいけど実際にはできなかったりする時もあるじゃないですか。最近僕が目の当たりにしたのは、渋谷の交差点でゆっくりしか歩けないおばあちゃんがいて、一人ポツンと交差点で止まっていたんですよ。僕はその後ろを歩いていて、その一秒見てる間に動けたはずだけど、その時にスッと動いたのは外国の方で。道路の真ん中に走って行って轢かれないようにって鞄を持って連れ戻してあげるところを見た時に、太一だったら考える余地もなく動くんだろうなと思いました。僕はまだそこに行くのに考えちゃうなと思った時にやっぱり太一はすげえなって思ったりする時はありますね。
――見どころだと思うシーンや、一番好きなシーンがあれば教えてください。
中沢:結構出会いのシーンが一番印象的というか好きで、太一が落ちてくるところなんですけど、撮影の時も何回かやってしっかりタイミングが合うように時間をかけて作ってたシーンでもありますし、そこから物語が始まっていくところなので、出会いのシーンは好きですね。
小林:僕はおじいちゃんとのシーンかな。相手がでんでんさんというのもあって凄くよかったです。中学の時に食べさせてくれたハンバーグのシーンとか、太一が将来のことに悩んでる時におじいちゃんに言ったら孫のために返してくれるところとか、すっごい良いじいちゃんだなと思いながら演じてた記憶がありますね。
■2人が演じる良い空気感
――では、ひだまりの読者さんに向けて一言メッセージをいただけますでしょうか。
中沢:正直、原作を読んでいると航平がかっこよすぎて本当に僕でいいんだろうかっていう思いが結構あるんですけれども、そこは温かい目で見ていただいて…(笑)。でも僕が演じる航平と虎が演じる太一の空気感っていうのも凄くいいものができていると思うので、そこは楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
小林:僕は結構自信あるんで、普通に楽しめる感じになっていると思うんですよね。コミカルな部分もしっかりあるし、ドラマとして面白いんだろうなっていうのをやっていて感じます。映画が良かったからドラマはどうなんだろうみたいな声もやっぱりちょっと届いたりはするんで、大丈夫だよ安心して見てくださいみたいな感じですね。
■ドーナツとかすごく美味しいです
――最後に、せっかくなので文乃先生からも質問をお願いします。
文乃:監督からそれぞれに演技指導というか、航平はこうで太一はこうでみたいなことは言われたりしましたか?
中沢:僕たちの気持ちをすごく大事にしてくださる監督なので、現場でもこういう行動線になっているけど、そういう気持ちにはならないよね、という話になった時に、無理にそっちへ持っていかなくていいと言っていただきました。本当に僕たちの気持ちを第一優先にして演出してくださる監督なんで、やりやすくやらせていただいてます。
小林:迷った時に聞いたら答えてくれたりはするんですけど、基本的には僕に任せてくれています。漫画通りのセリフだと浮いちゃったりする時があるので、よりリアルな感じを出すためにちょっとした一言のアドリブを入れてみたり、反応を増やしてみたりとかさせてもらってます。そうやって付け加えたりする時に、いいですかっていう確認を監督に取ってやっています。
――ありがとうございます。もう1つくらい文乃先生から質問をお願いできないでしょうか。
文乃:現場にあって嬉しい差し入れってなんですか?
一同:(笑)
中沢:お菓子が多いよね?
小林:お菓子多い。ドーナツとかすごく美味しいです。好きです(笑)。やっぱりお腹空いてる人が多いので。
中沢:ちょいっと摘まめるものは結構みんな好きだったりしますね。
文乃:甘いものの方がいいんですか?
小林:バッとお腹にたまるやつの方が多分嬉しいよね。現場のスタッフさんとか僕らより動いてるんで。お腹空いてる人多いし。
――中沢さんは甘いものはお好きですか?
中沢:甘いの好きです。
小林:(差し入れ)楽しみにしてます (笑)!
一同:(笑)
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